鬼哭の島
2011年 10月 19日
図書館に入荷したので借りてみました。重いっ!
愛読誌「Days Japan」で先月あたり紹介されていた写真集です。
鬼哭とは「浮かばれない亡魂が恨めしさに泣く」の意味。
写真家 江成常夫氏がガダルカナル、ラバウル、サイパン、トラック、レイテ、硫黄島など太平洋戦争跡地の
島々を巡歴して撮り続けた写真と、19人の戦争体験者の声がつづられています。
「玉砕」の美名の下に南の島に散った数万の尊い命が
いまだ祖国に帰れず、遠くをさまよっている。。
写真を見ただけではピンときません。
戦後生まれの私達にとって太平洋戦争は机上で語られる歴史でしかなく、
算数や国語同様、勉強しなければならない課題の一つでしかありませんから。
しかもその多くは教育の場でも語られることはありません。
まばゆいばかりの青い空、青い海、それは南の楽園そのもの。
そこへさび付いた沈没船、塹壕、砲弾をあびたコンクリートの建物、
旧日本軍の残したと思われる 水筒や医療具。。。
私の生きた昭和という同じ時代に、紛れもなくあった事実が
切り取られています。
19人の証言を読んでそれらの写真をみると、
ただのさびた水筒が、小瓶が、物資を運ぼうと岸壁につっこんだ輸送船の残骸が、
語りかけてきます。
戦後70年、声なき人たちのさけびが聞こえてきます。
by kashia427
| 2011-10-19 15:15
| 読書